SCJ Conference 2018 開催レポート~B会場~「コーチの成長と社会におけるスポーツの価値」

最終更新: 2018年6月26日



本分科会では、約10年間スポーツの現場でコーチやアスリート・彼らの家族と接してきた相馬氏、オーストラリアでアスリートとして活躍した後、日本で「コーチの学び」をテーマに研究している関口氏が登壇しました。日本の社会の中ではスポーツの価値が認められにくいという課題や、コーチ自身が成長することの重要性についてお話いただきました。



プロフィール


相馬 浩隆氏(公益財団法人日本オリンピック委員会/ JOC国際人養成アカデミーディレクター)

筑波大学人間総合科学研究科専任研究員を経て2008年財団法人日本オリンピック委員会「JOCキャリアアカデミー事業アシスタントディレクター」に就任。2016年より「JOC国際人養成アカデミーアシスタントディレクター」、2017年より同アカデミーディレクター。

仙台大学、専修大学などの大学で非常勤講師を務めるほか、日本体育協会公認コーチ講習会、企業研修で講師などを務める。





関口 遵氏(日本体育大学体育学部(コーチ学)助教 / オーストラリアンフットボールクラブR246ライオンズ代表)

日本体育大学体育学部(コーチ学)助教。スポーツコーチの学び・教育・育成に関する研究。国内外のスポーツコーチング研究のみならず、インテグラル理論、成人発達理論、人的資源・組織開発、教師教育学などの理論を統合させた、スポーツコーチ支援環境の構築を目指して活動中。NSSU Coach Developer Academyの創設に携わり、プロジェクトのデザイン・マネジメントに従事した。オーストラリアンフットボールクラブR246ライオンズ代表。




―― 日本では、人間成長におけるスポーツの価値が見逃されている


相馬:スポーツの中で個人が競技力を伸ばす為には、人格や人間性の部分も養っていく必要があります。しかし、日本の中ではこうした考え方はまだ一般的ではないと感じています。原因を考える時には、日本と欧米諸国のスポーツに対する考え方の違いがあることをおさえておく必要があります。


一つ目として、日本と欧米諸国ではスポーツをやってきたという経験に対する評価が少し違います。日本では体育会系は認められるが、それ以外の、スポーツを通して学んできたことは評価されにくい。


スポーツの、社会からの見られ方、という点でも少し違います。そもそもスポーツの教育的効果という概念はイギリスで生まれて広がっていきました。ラグビーやクリケットなど集団スポーツに取り組むことによって、忍耐力や克己心、協調性を養おうと考え、国を挙げてスポーツを通した教育に取り組み始めました。



近代オリンピックにもこれと同じような意義が謳われています。オリンピックの目指すものとして、「オリンピズムとは人生哲学であり、肉体と意志・知性の資質を高めて配合させた、均衡の取れた総体としての人間を目指す」という言葉がオリンピックの憲法の一番最初に書いてあります。


オリンピックの目指す世界というのは、これを基盤とした「人間の尊厳保持に重きをおく世界平和」なのです。国連総会決議書の中に書かれている「教育と健康と成長と平和を広げるための手段としてのスポーツ」という考え方にも多くの国々(日本含む)が同意をしてサインしています。


スポーツの競技力を競う以外の意味や価値がヨーロッパではよく理解されています。しかし、日本ではこういった価値観が共有されていません。



ではここで、皆さんにとっての「スポーツの価値」を探してほしいと思います。

この表の中にどんどんマッピングして、できるだけあらゆるエリアに分散したマップを作って欲しいと思います。

(参加者は数名ずつのチームに分かれ、活発な意見交換が行われました)



―― アスリートがどう思っているか考えるとコーチとして成長出来る


関口:アスリートの自立を支援していく時にコーチとして出来ることとして、1つ例として言えるのは「ルールや制限の中で選択肢を与える」ということです。

自分で選ぶ能力というのは重要ですよね。プレイヤーを意志決定者として育てていく時には、1つのことをただ提示するのではなく、2つ選択肢を与えて彼らにどちらかを選んでもらうということがコーチとして出来ることだと思います。


また、自らのコーチングを振り返る時のポイントをお伝えしたいと思います。コーチングをしていてある問題が起きた時に、その状況や、「コーチである「私」が何をしたいのか、何をしたのか、何を考えたのか、何を感じたのか」を考えるのと同様に、アスリートの方はどうだったのだろうと考えて、振り返るようにすると、コーチとしての一歩前に成長することが出来ると考えています。



講演を終えて


最新の研究結果や現場でのご経験を基にしたお二方のお話、参加者同士で考え話し合ったワークを通して、スポーツには「競技力」という言葉に内包されない多くの価値があるという多くの気づきがありました。

関口さんが「スポーツは人類の進化のための手段の1つになりうるのではないか」と言うように、人間成長におけるスポーツの力は非常に大きいものだとあらためて感じられたセッションとなりました。



​Quick Link

​一般社団法人スポーツコーチングJapan

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     山本 隼也

     藤森 啓介

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