SCJ Conference 2018 開催レポート〜A会場〜「新しい時代のリーダーシップ」

最終更新: 2018年4月25日



岡島さんのご専門である「リーダーシップ×イノベーション開発」という視点から、これからの時代に求められるリーダーシップのあり方についてお話いただきました。「変化」が求められる世の中で、新しい時代のリーダーはどうあるべきかについて、多くの質疑応答も交えながら参加者とともに考えました。

プロフィール

岡島 悦子氏

株式会社プロノバ代表取締役社長

経営チーム強化コンサルタント、ヘッドハンター、リーダー育成のプロ。三菱商事、ハーバードMBA、マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て、2002年、グロービス・グループの経営人材紹介サービス会社であるグロービス・マネジメント・バンク事業立上げに参画、2005年より代表取締役。2007年、プロノバ設立、代表取締役就任。

アステラス製薬株式会社、株式会社丸井グループ、ランサーズ株式会社、株式会社セプテーニ・ホールディングス、株式会社リンクアンドモチベーションにて社外取締役。世界経済フォーラムから「Young Global Leaders 2007」に選出。



――時代とともに変化する「リーダーシップ」の形


これからは平均寿命も延びていき、少なくとも80歳近くまではなんらかの形で働く時代になっていきます。労働寿命は50年~60年になり、ビジネスサイクルも短期化していく時代の中で、全ての人たちが変化し続けることが絶対に必要に状況になっています。


日々「変化」が求められる世の中では「昨年と同じ」は「後退」を意味してしまいます。

そのような状況の中で、私は何をやっているかというと、イノベーションです。イノベーションには、よく聞く改善のようなものもあれば、飛び地のようなもの、つまり破壊的イノベーションのようなものがあります。経営のやり方を変える、業界の構造を変える、ビジネスモデルを変える、そういうことを仕掛けています。


破壊的イノベーションを起こすには、様々なものの掛け算であったり、定石ではないことを常に考え続けることが必要です。淀んだ水を作らない、フレッシュな水を入れることが必要になります。


こうした流れの中で、新時代のリーダーシップは、先ほど基調講演でも話したように、カリスマ型リーダーシップから、羊飼い型リーダーシップに変わってきています。ビジネス上は全員がマーケターとなって、全員でお客様のニーズを捕まえていく、もう少し言うと、お客様の中にはニーズが表出化していないかもしれないという時代でもあります。


そうなったときにどうするかと言うと、仮説を立ててみんなで切磋琢磨していいものを作ってみて、とにかくお客さんに当ててみる。それも、クルクル当ててみるということをやっています。


イノベーションをすることは、失敗をたくさんしないといけないということです。とにかく挑戦して、その中から勝てそうなもの、お客様が欲しいものを見つけるということに変わってきています。


新時代のリーダーの役割は、善意の失敗はOK、チャレンジしてなんぼという文化を作り出すことであって、優秀な人材や異能な人材が、相互の信頼の上で真剣勝負をやることができるか、チャレンジ出来る環境をいかに整備出来るか、信頼の文化をいかに作れるかが大切になっています。



――新時代リーダーの育て方


新時代のリーダーシップは、これまでの育て方では難しくなってきています。羊飼い型リーダー、破壊的イノベーションを生む人は、自律自走型で変化に適応できる人材、変化上等と言ってくれるような人材でなければなりません。


新時代リーダーの要件はいくつかありますが、中でも何を一番見ているかというと、「素直さ、伸びしろ、学習能力」です。今日の成功モデルは明日の成功モデルではない、ということで、そこを変えられるかどうか、unlearnできる力や学び続けられる力が大切になってきます。


そして、次に、未来の自分への自信である「自己効力感」です。これは例えば、オリンピックに出たら勝てる可能性があるかも、といった種類の自信のことです。


ビジネスサイクルが短期化する中で、やったことがないことに対しても自信をもってもらう必要がある。今ビジネスの世界ではこれがとても大切になってきていて、自己効力感をあげるために、何をやっているかというと、とにかく修羅場に人を送る。一皮むける経験をしてもらう、ということをやっています。


また、planned happenstanceセオリーというものがあります。私はこれを棚ぼた理論と呼んでいます。棚の下にいないとぼた餅は落ちてこない、つまり、楽観的に、好奇心をもって棚の下へ行き、楽観的に上を向いていないとぼた餅は落ちてこない。


多くの優秀なリーダーの人に、何がきっかけで良いリーダーになったかと聞くと「偶然です」と言うことが多いですが、よくよく掘り下げていくと、この棚ぼた理論の要素を持っている方が多い。恐らくはこれは必然を生む偶然、もしくは偶然を生む必然、そういった傾向値は見えてきています。


リーダーを育てるためには、こうした素養を見分けて、抜擢してとにかく打席に立たせてみる、ということかと思っています。

社長を作ることと一流のスポーツ選手を作ることはとても似ています。普通の人は見ていないような高みを見ている人たちなので、とても孤独だと思いますが、それに寄り添って指導しなければならないですよね。そういうことを皆さんはやっているのだなと思いますし、指導者の皆さん自身も、変化し続ける覚悟や、楽しんで変化し続けることが大切になってくると思います。



講演を終えて


「『変化上等』という言葉だけ持ち帰って下さい」と岡島さんがおっしゃったように、社会の変化に合わせて、自分自身が楽しみながら変化し続けることが今後ますます重要になると実感しました。


また、ビジネス領域に比べ、勝敗や結果のわかりやすいスポーツ分野では、どんなリーダーが成果を出せるかについて科学的な仮説検証が行いやすく、スポーツ分野で明らかになったことを他分野に応用するということも往々にしてできるという点も指摘されました。


「新しい時代のリーダー」のあり方を考える貴重な機会であったと同時に、スポーツの可能性についてその広がりを感じるセッションでした。



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