【開催レポート】勝つためのセルフプロデュース

最終更新: 2019年3月22日

2/9(土)に開催された「SCJ Conference 2019」では、スポーツという枠を超えて活躍する方々をお招きし、新たな知見を共に学び、考え、ゆさぶり合う場となった。

分科会C「勝つためのセルフプロデュース」では、星野明宏氏、外池大亮氏、杉原倫子氏が登壇。




主体性を考える。


自己紹介の延長線上でテーマとなったのは、主体性。もはや指導・教育の現場では当たり前となりつつあるこの言葉を星野氏は以下のように解説する。


星野:主体性を実践するためには3つの段階があるんです。

1つ目は仕込み(直接やることを伝え、考え方ややり方までしっかりと指導すること)

2つ目は自主性(いわゆる宿題。やることだけ伝え、それを自分の時間で行うこと)、そして3つ目に主体性(言われたことに加え、自分で考えてプラスアルファやる・効率よく時間を使い短縮し、残りの時間で他のことをやること)です。

本来は1⇨2⇨3で進めるものですが、それだと3つ目に到達するまで時間がかかります。ケースや状況によって、自主性や主体性を早めに求める指導も織り交ぜることが重要です。

とは言うものの、ポイントは仕込みにあります。仕込みがうまくいくと、自主性も主体性も身についていきます。仕込みは色々な経験も持つ人たちが、多角的に参加することがポイントですね。


勝つための極意。


杉原:そもそも極意なんてあるのでしょうか?


勝負の世界で結果を出し続けている二人に対し、モデレーターの杉原氏が投げかける。


外池:現状を把握することからはじめました。

大学サッカーともなると、選手も成熟してきています。賢いし、優秀だし、頭が良い。本音が見えにくいこともあるので、無記名のアンケートを実施しました。記名だと頭が良い故に体裁を整えちゃうので。笑

また、指導経験がない私は、マネジメントに徹しました。いわゆるファシリテーター。選手やコーチの動機付けやアクションに対するフィードバックなどですね。


星野:自分をメタ認知(より深い自己認知)することが大事ですね。とにかく素直になること。得意不得意もあるので。指導者はなんでも自分でやろうとし過ぎてしまうんですね。かなり大変です。弱点が分かれば工夫もできるし、協力も仰げるので。

これは練習にも言えます。自己認知ができていると弱点を補う効果的な自己練習ができるようになります。自主練の風景を見れば、選手のインテリジェンスも測れますよね。結果に直結する練習を行うため、そして勝つためのプロデュースをマネジメントするためにも重要だと思います。


杉原:これは部活やスポーツに限った話ではないですよね。仕事におけるマネジメントでも同じことが言えると思います。





セルフプロデュースとは。


この会の本題であるセルフプロデュースについて、星野・外池両氏が以下のように解説する。


外池:意識しているのは、なぜ早稲田の蹴球部にいるのか。他の大学ではなくここにいる理由を持つことを促しています。「レゾンデートル」ですね。フランス語で「存在意義」という意味です。これを流行らせて、仲間同士で「お前のレゾンデートルはなんだ!?笑」と飛び交うようになりました。

大学まで来ると技術にも差が出てくる。試合に出る出ないがはっきりしてくる部分もある。技術面での優劣が出てくるんですね。その中で、自分の立ち位置を自分で考えることが大事になってきます。そこを考えるきっかけが「レゾンデートル」というわけです。必ず覚えて帰ってください。笑


星野:レゾン・・・?うん、とても大事ですね!笑

僕の話でいうと、選手時代が例になります。上手い選手がいました。レギュラーでした。しかし練習において、プレーしやすい環境での練習しかやっていなかったんですね。良いパスをもらってからの動き出しとか。試合では良いパスなんてほとんど来ないのに。そこで僕は汚いパスをもらって動く練習を繰り返しました。すると、試合では星野の方が動きが良いと判断され、試合に出ることができたわけです。自分の立ち位置を把握し、それを踏まえて結果に直結する練習を繰り返したことが認められました。


また、教え子の例でいうと、体の大きい子がいたのですが、実はその子は走るのが好きでした。しかし体格からして、ずっと前線で体を張る役目ばかりでした。なかなか成果が出ない中で面談をすると、走りたい意思表示があったので、やらせたら見違えるほどイキイキしたんですね。好きなプレーとマッチングさせてあげることの重要さも感じましたね。



レゾンデートルを覚えてくれない星野氏(写真左)に対し、なんとも言えない表情の外池氏(写真右)会場は大爆笑。




「勝つ」とは。


杉原:お二人は、勝つということをどう捉えているのでしょうか。


外池:勝ち負けの他にも上手い下手があって。そこに意識が行くんですね。そこだけじゃないということを意識するよう話しています。それだけでは強い組織は作れない。組織にどう貢献しているかで評価することを大事にしています。それがチームを強くし、結果に結びつく。ここが重要だと考えています。それには空気感も大事で、僕は選手をいじったりします。なんか浮かれてる選手がいたら「お前彼女でもできたか?」とか。笑

その瞬間、そいつがチームの中心になる。ピッチの外の出来事が、ピッチ内でも話題になる。それが安心感につながる部分もあると思うんです。


星野:外池さんは場づくりに工夫がありますよね。ただイジりたいだけなのかもしれないけど!笑

場づくり空気作りは大事です。それでいうとエディジョーンズ。長時間練習は集中力が持たないという理論を元に練習を5部に分けて、最大出力で空っぽになるまで練習して、そこに栄養ぶち込んで。昼寝までして。笑

練習し切る、という場を作って結果を出しました。

また、モチベーションを上げるのも上手。「この練習を頑張ったら、お前はスターになる。スターとはなんだ。子供達のヒーロー。みんながお前を真似する。お前がこの練習を乗り切ることが、ラグビーを発展させることになるんだ。」この言葉を礎に、五郎丸選手はヒーローになったんです。



「夢」を描く。


杉原氏が最後にどうしても二人に聞きたかったこと。今後の夢について、それぞれ大いに語っていただいた。


星野:スポーツ選手に対してよく言われる「脳みそ筋肉」という言葉をこの世から無くしたいですね。勉強ができなかった自分がここにいるのは、間違いなくスポーツのおかげですから。

ラグビー村、スポーツ村で終わらないようにしたい。培ったノウハウはどこでも活きるはず。電通では、仕組みづくりという部分で活躍できました。「Win Win」と「持続可能」この両立を図ることで大抵の仕組みはうまくいきます。それに気づいたのも、スポーツのおかげですから。

また、海外ではスポーツの価値が非常に高い。勝った負けたのレベルじゃ収まりません。アートなどと同じ価値観なんです。サイエンス、テクノロジー、エンジニア、マスマトリクス、アート。これらと並びます。学校教育とスポーツを両立させていることをアメリカで話したら、もはやVIP待遇でした。哲学者のような扱われ方ですね。そのくらい、スポーツは高い価値がある。それが広まることを願っています。


外池:選手たちと同じ目線でいきたいですね。同じビジョンを共有して、同じ方向に、同じ温度感で。今までの早稲田ア式蹴球部の目標は、あまりにも高すぎる、そしてサッカーに限定されてしまうものでした。今の選手たちは目指すべき姿も当然バラバラです。レゾンデートルが違うんです!笑

そこで、今の時代にあったビジョンを、みんなで考えたんです。

「日本をリードする存在になる。」これならサッカーでなくても当てはまるし、全員で共有できるビジョンだなと。OBが多数集まる総会で、恐る恐る提案をしたんですけど、意外とすんなりOKをいただいちゃって・・・笑

選手はもちろんですが、スタッフも、このビジョンに向かっていけるようにマネジメントしていきたい。それが僕のレゾンデートルであり、夢ですね。




お茶目な一面が印象的な外池氏(写真中央)と、ユーモア溢れる表現で笑いを取りまくる星野氏(写真右)。その二人の個性を引き出しつつ自身も楽しむように対話を展開した杉原氏(写真左)による分科会は、終始盛り上がり充実した内容となりました! ご参加いただきました皆様、そして星野様、外池様、杉原様、ありがとうございました!



【スピーカー】

・星野明宏氏

 静岡聖光学院中学校・高等学校副校長

・外池大亮氏

 早稲田大学ア式蹴球部監督

【モデレーター】

・杉原倫子氏

 ソフトバンク株式会社 人材開発部 部長


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